法人について

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理事長挨拶

 平素より、社会福祉法人大阪社会医療センターの運営につきましては、関係各位の皆様からのご理解、ご支援を頂き、誠にありがとうございます。

 当センターは、「赤ひげ先生」と慕われた初代院長本田良寛先生の熱意とご尽力で、目的とする、日雇い労働者を含む地域住民の医療の確保と生活の安定に、半世紀に渡って成果を挙げてきました。第二種社会福祉事業としての「無料低額診療」がセンター付属病院の大きなミッションであり、今も継続して行っております。

 しかしながら、時代は変容を遂げており、地域住民の高齢化が進み、日雇労働者が減少する一方で、在留外国人の増加が際立ってきています。このような多様化が進む中で、西成特区構想10年を経て、治安と環境は大きく改善され「暮らしやすい街」に変貌しました。ところが、健康・医療の面では、まだまだ取り残されている部分が多くあります。

 センター付属病院は、4年前に新築移転オープンし、最新の設備を備えています。また、医療スタッフとして、医師は大阪公立大学医学部在籍/出身者で、高度先進医療から日常診療まで幅広くハイレベルの医療を提供しています。患者に寄り添う優秀な看護師、薬剤師、医療技術者、管理栄養士、医療ソーシャルワーカー(MSW)、事務職員らが医師と一丸となってチーム医療を展開しています。

 私はここに来て、未だに西成区が「日本一短命の街」であり、がん死亡率が全国平均の2倍にも達するという事実に愕然としました。この課題解決こそが、今、当センターが果たすべき最大のミッションであると確信しています。そのためには当センターも、時代に適応した変容が必要です。伝統を守りながら進化していかねばなりません。

 地域住民の健康を守るためには、病診・病病連携が必須です。2024年に西成病院連合を結成し、がんの早期発見を促進するための連携協定を締結して活動を開始しています。またセンター付属病院と近隣の診療所・クリニックとの連携を密にするため、登録医制度を押し進めています。さらに、地域と一体となる患者包括ケアを促進するため、病棟の再編を行い順調に機能しています。

 私自身も昨年(2024年)8月から「ピロリ外来」を始め、胃がんの原因となるピロリ菌の保有者を社会医学研究で調査し、その方々に胃カメラを勧めてきました。その結果、半年間に約50名の方が胃カメラを受け、なんと6名の方に胃がんが見つかったのです。その患者では6名全員、がんを取り除くことができました。

 もし、この6名がこの研究に参加していなければ、数年後には進行がんとなり、不幸な転帰を迎えることになったでしょう。このような顛末にならないように、この地域でできるだけ多くのがん予備群を見つけ救うことが、健康寿命を延伸させて社会を活性化させ、結果的には子育て世代を支援することにも繋がるのです。そのような「健康モデル都市」をこの地で実現させたい。それが「がん大国」と揶揄されるニッポンを変えることになると信じて。

令和7年4月1日
社会福祉法人 大阪社会医療センター
理事長 荒川 哲男

社会福祉法人 大阪社会医療センター
理事長 荒川 哲男